伊那谷サラウンドから、緊急アンケート企画をお届け!
新型コロナウィルスの脅威に、世界は今までにない苦難に直面しています。
そんな中、音楽やアート・文化的な活動をしている方々は、大きな打撃を受けていながらも、それぞれに工夫した過ごし方をし、多くの人に前向きなメッセージを送っている人もたくさんいます。
今回は、伊那谷サラウンドが今まで縁をしたアーティストや文化的活動をしている方々に「 新型コロナと向き合うー文化・芸術の力と想像力を支えにー」と題したアンケートを実施。
それぞれの方の声を、みなさんにお届けします。
7回目に登場いただくのは、
飯田市が舞台の映画「いつくしみふかき」の監督をつとめた
映画監督の 大山晃一郎さん
ロケ地である飯田市の人々を魅了しつづけている映画「いつくしみふかき」。
初監督作品ながら、国内外で数々の賞を受賞し、映画を通して飯田市の魅力を発信し続けてくれています。
現在、映画館休館という厳しい状況の中でも、映画の火を灯し続けようと尽力されている大山さんの、「今の声」をお届けします。
Q1. 現在お住まいの地域はどのような状況ですか?(4月中旬時点・東京都)
飲食店の三分の一は休業、もう三分の一は夜20時までの営業、残りは通常営業という状態です。
自粛要請以降近隣の人出は半分くらいにはなっていますが、公園などは人が多く訪れています。
Q2. 新型コロナで、お仕事や暮らしにどのような影響がありますか?
撮影中のテレビドラマが再開未定で休止になりました。都内でのテレビドラマ撮影はほぼ全て中断しているはずです。
Q3. そんな中、どのように過ごされていますか?対応されていますか?
基本ずっと家にいます。日中は家の用事をしたり子供と遊び、映画を観まくっています。
Q4. この状況下でなにか始めたことはありますか?
家の掃除です。次回作の構想も練っています。
Q5. 1週間、自宅から一歩も出てはいけない状況となったら、あなたは何をしますか?
映画などのインプットと家族との時間を大切にしつつ、創作活動したいです。
Q6. もしあなたが、今とはまったく違う職業になるとしたら、何になりたいですか?または何をしたいですか?
漁師です。まぐろなどの大物もいいですし、さんまなどの群れる系もそそりますね。
Q7. Q6で答えた職業の場合、あなたなら今の状況をどう過ごしますか?またはどのように乗り越えますか?
想像できませんね・・・。海にでると思います。
Q8. 今の世界の状況を見て、何か連想したことはありますか?(映画や小説のワンシーンや、誰かの言葉など)
いくつかあります。
ひとつは大好きな手塚治虫の「陽だまりの樹」
幕末の動乱の中を生きた正反対の二人(勤勉武士と放蕩蘭医学者)の話なのですが、その中での天然痘に関するくだり。
当時は未知だった天然痘に対してさらに未知の蘭学で感染症を治療しようと奔走します。
新型コロナと戦う現在の医学はその頃とは全く違うステージにありますが、未知のものと戦う医療従事者のその苦労には敬意を払っても払いきれない思いがあります。
我々に出来ることは日々溢れる情報を注意深く精査し、時には冒険に協力を辞さず、そして何より冷静に関心を持ち続けなくてはいけないと思います。
ふたつめは「ライフオブパイ」
新型コロナという「人と人との関わりを阻害するウイルス」に対して大海で漂流するこの映画のパイ少年を連想しました。
一つのボートの上で冷静と混乱が戦い続け、そして我々は無事陸に辿り着けるのでしょうか?
辿り着いた後に振り返った我々の物語はどうなっているのでしょうか?
映画のラストのセリフ「君はどっちのストーリーがいい?」がとても今回自分の中で連想されました。
Q9. 新型コロナ感染拡大を機に、振り返ったこと、改めて気づいたことや考えたことはありますか?
一番はやはり自分や家族の生活の事です。これからどうなってしまうのか、考えては止め、また考えるを繰り返しています。
でもこんな時こそポジティブにをモットーに前向きに考えています。
Q10. このような状況から、あなたが見出す「光」とは?
やはり人と人との関わり方に関してです。人との関わりを遮られた今
「誰かと会う」「誰かと話す」「誰かと酒を飲む」「誰かと働く」「誰かと笑う」
そんな当たり前の大切さを自分も含めたくさんの方が身に染みて感じていると思います。コロナよりもっと怖い病は「無関心」だと思っています。
そして昨今その病は少しづつ現代を蝕んでいっていたように思います。
他の生物より弱者だったニンゲンが繁栄できた最大の理由は「社会性」です。
誰かと関わっていく事の喜びや勝利、同時に悲しさや敗北。
全部ひっくるめてやっぱり自分たちは誰かと関わって生きていかなければならない。
他人の苦しみを分かち合って優しさに包まれながら前向きに生きていける社会を創っていきたいなと思います。
失われた濃厚接触を取り戻していきたいなと思います。
Q11. このサイトを見ている方々へ、メッセージをお願いします
乱文長文失礼しました。
宣伝になってしまいますが、全国公開が延期になっています拙作「いつくしみふかき」もコロナが落ち着いたあかつきにはジャンジャンバリバリ頑張って宣伝していきたいと息巻いております。
この作品もまた飯田下伊那の皆さんとの濃厚接触の賜物、感謝してもしきれない御縁と関りがあったからこそ完成した作品です。
安心して映画館に訪れるようになった頃、この映画に皆さんのお時間を頂ければとても嬉しいです。
大山晃一郎 Profile
18歳の頃大阪芸大中退後上京、フリーの助監督に。
「リング」の中田秀夫監督や「沈まぬ太陽」の若松節朗監督等の下、助監督として数多くの映画やドラマの製作現場で活躍。
参加作品に映画「溺れるナイフ」「怪談」「夜明けの街で」テレビドラマ「ROOKIES」「刑事7人」「BG」「警視庁捜査一課長」「遺留捜査」などがある。
初長編映画監督作品の「いつくしみふかき(2020公開)」はゆうばりファンタスティック国際映画祭2019にてゆうばりファンタランド大賞受賞をはじめ国内外の映画祭で11の賞を受賞。
また劇団チキンハート、大山劇団の作・演出家として年2回ペースで演劇公演も行なっている。
いつくしみふかきWEBサイト http://www.itukusimifukaki.com/
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